2012年2月10日金曜日

執筆中

2月も半ばで、寒さも一段と身に堪える時期ですね。



映画班湯尾です。



先月末にアウトラインを完成させてから、それをもとに論文を執筆しています。



アウトラインは論文の骨子。それが完成しているから後は順調にいくかと思いきや、
やはりそうは行きません。

論文執筆ならではのむずかしさがあります。



例えば、先行研究のパート。

ここでは理論を紹介する部分ですが、理論は伝えるのが難しいです(当たり前ですが)。

研究者の方は無駄なく、必要最低限の文言で私たちの理解を促す文章を
描くのに。

贅肉だぶだぶで、何が伝えたいのかが理解に苦しむのが私たちの文章でした。



また、そもそもの文章の作法という基本に立ち返る必要がありました。

接続詞・助詞の使い方、受動態にした方がわかりやすい、主語が抜けているとか、
日本語を正確に使用することを求められます。



こうして一文一文に熟慮しながら、一旦完成させ、院生やゼミ生にフィードバックして
もらいながら、一歩一歩完成へと歩んでいます。


2012年1月22日日曜日

アウトライン作成

今回も湯尾が担当いたします。


先日のデータ分析の結果、私たちはついにそれを活かして論文を書き始めるための材料を揃えることに成功しました。


けど、すぐさま調理は始めません。材料をどう調理するかのレシピを作ります。それが研究でいうならば、アウトラインにあたります。



アウトラインをしっかり書く意義は、研究論文を支える骨子を固めることだと思います。



何かを書くことは、ほとんどの場合読み手を必用とします。言い換えるならば、読み手がいないということはほぼなく、それは相手への伝達を第一義の目的とします。その彼らに伝えるべきものを、明確にわかりやすくするために、必要最低限の主張と論理を展開するのがアウトラインです。だから全体を執筆する前にしっかりと骨組みだけを組み立てます。

このアウトラインの段階で、先生や院生、同期のフィードバックが入り、ここでしっかりとした骨子が書けないと、全体を描くことはできません。



こういったアウトライン作りですが、大変難しい作業です。



大体の論文には「型」がありますが、特に経営学の定量研究では、「先行研究のまとめ」が大変重要となります。

研究は先人達の知恵の蓄積の上になりたっているので、当たり前と言ったら当たり前ですが、特に定量研究の場合には、仮説の導出であったり、分析で使用する変数であったり、分析モデルであったり、ほとんどの研究内の要素は先行研究と紐づいています。だからこそ、定量研究では研究者が今まで「何を」「どのように」主張しているのかを丹念にたどっていく必要があります。

私たちの場合は、まず山下先生と山田先生が共同で書かれた「プロデューサーのキャリア連帯」という書籍を軸に、どのようなメカニズムが働いて商業的にも芸術的にも成功へと導く“創造性”が高まるかを綿密に読み込みました。

その中には海外ジャーナルなども多数引用されているので、そちらも何を主張しているのかを参照しました。

そして、実際まとめる作業にと移るのですが、ここもまた難しい。自分らのオリジナルの流れで先行研究をまとめるためには、細かい言葉の定義であったり、概念の内容であったり、それらが果たしている機能であったりをしっかり理解することが必用です。

たとえば、創造性という言葉自体、とてもアバウトな言葉で汎用性があります。ある人はこれを芸術性の源泉だと捉えます。もう一方で、これは企業におけるイノベーションを促すものだとも考えます。



そうです。人によって捉え方が異なります。研究者内でも多少のずれがあります。



だからこそ、多くの文献を読みこみ、比較することで、理解が促され、筋の通った先行研究となります。

そのようなことを続けて、結果、アウトラインもそれだけで、10,000字を雄に越えました。
さて、あとはこのアウトラインをもとに論文を執筆します。

2012年1月12日木曜日

最後のデータ分析

新年明けましておめでとうございます。湯尾大祐です。

年末から年明けにかけてのデータ分析の結果、及び先生との相談をさせていただいて
大まかに2つの課題が目の前に提示されました。

ひとつは、概念を定量分析するための変数の尺度を変えて測り直すこと。
もうひとつは、その結果をもとにアウトラインを作り始めることでした。

私たちは、「キャリア連帯」という概念の実情がどうなっているのかを、映画産業におけるキープレイヤーである監督とプロデューサーを分析単位として、実証することが私たちの研究目的である捉え、研究の方向性を微調整しました。

そこで、先行研究で言われている測り方でキャリア連帯の変数を構築しようと考えたのですが、そこに私たちの研究ならではの問題点が現れました。それは、対象となる監督・プロデューサーのキャリアを考慮して分析するとなると、先行研究での測り方には自ずと限界が表出されるということです。

その限界とは、キャリア連帯の重要な要素である「経験量」を考慮して分析することができないということです。

厳密な定義は以前の記事で説明したので省きますが、キャリア連帯とは、あるプロデューサーが特定の監督と「私はあなたとキャリアを共に歩んでいきます」といったある種の契約を暗黙に結ぶようなことです。そのお互いの忠義の契約をもとに、信頼を醸成させ、価値観を擦り合わせたりしながら、創造性を高めていくことになります。

そこには2年、3年といった短期スパンではなく長期的な関係をもとにお互いのキャリアを共に歩んでいく前提があります。

そこで我らが分析のサンプルを鑑みたときには、そのような短期的な、キャリアが含まれています。それはそれで厳密に言うと問題なのですが私たちは「日本映画産業の全体として、キャリア連帯の重要性を実証する」という研究目的なので、そのサンプルにそったキャリア連帯を測る指標を自分たちで構築し、分析しました。

その結果は、「大成功」でした。
詳しくは私たちの論文を見てください!ほとんどが統計的優位のお墨付きをいただきました。

さて、これからはこの分析結果をもとにアウトラインを作成し始めます。

2012年1月8日日曜日

実証研究への取り組み ~変数の妥当性とは2~

新年あけましておめでとうございます。串田です。
今年はメンバーの平野の家で合宿を行い、年越しを迎えました。

昨年の年の瀬に、我々は変数を累積でつくることの妥当性のなさを指摘されて、完全に研究の方向性を見失ってしまいました。今から、新たに変数を作り直すのは、膨大な時間がかかるため、とても卒業論文の提出が間に合いません。

悩みに悩んだ末、今すでに作ってあるデータから可能な研究をしようという、結論に至りました。

そこで、私たちは山下・山田(2010)が提唱したキャリア連帯という概念の実証研究をすることにしました。

キャリア連帯とは、映画プロデューサーと監督の2者間の代替不可能な関係のこと。仲がよくお互いがいないと駄目になってしまうカップルだと想像してください。

このキャリア連帯がプロデューサーと監督との間でしっかりと構築されることで、独自の価値形成が行われ、商業的にも芸術的にも素晴らしい作品が生まれやすくなるのです。さらに、この映画プロデューサーと監督を協力してくれる支援者と関係を構築していくこともキャリア連帯から生まれた独自の価値を実現するうえで欠かせません。

山下・山田(2010)では以上のような、映画プロデューサーと監督との間に焦点を当てて
キャリア連帯というとても興味深い概念を導出しています。

しかしながら、山下・山田(2010)は何個かのケースを用いた定性研究で、定量的に実証したものではありません。定性研究はある現象を一つの側面から捉えて記述するため、どうしても単一事例を扱う傾向が強く、普遍性にかける部分があります。(一説には定性研究の90%ぐらいは実証研究されないまま概念導出で、終わっているみたいです。)

だからこそ、キャリア連帯を実証することは、地味ではあるが、とても価値のあることだと私たちは考え、キャリア連帯は本当にあるのか証明しようと決めました。

卒論提出に間に合わせるためにも私たちは、さっそく現在のデータを、夜を徹して整理をしていました。

今回は、分析単位をプロデューサー個人から、プロデューサーと監督のペアに変更する必要があり、とても煩雑でした。定量研究では、分析対象によって、適切な分析単位を設定することが重要になります。分析対象が企業であれば分析単位は企業であり、企業内のチームであればチーム、企業内の個人であれば個人です。

今回、私たちの分析対象は、プロデューサー個人から、キャリア連帯という「プロデューサーと監督の関係」に変更しました。よって、データベースもプロデューサー個人を分析単位としていた形式から、プロデューサーと監督を分析単位とする形式へ変更しました。



なかでも特に、苦労したのが山下・山田(2010)がキャリア連帯を測定する指標として提示している協働の集中度のデータ製作です。

協働の集中度とは、プロデューサーが特定の監督と協働している度合いを示すものであり、
「プロデューサーが過去に協働した映画監督の氏名をすべてピックアップし、その協働回数をそれぞれカウントした。そのうえで、特定の監督がそのプロデューサーが手がける作品のなかで、どれだけのシェアをもっているかを計算した」指標です。(山下・山田, 2010)

膨大なデータがあるため、処理をしていたら、パソコンが止まったり、最終的には、セーブを行っていなかったためにかなりの逆戻りすることもしばしばでした。

ちなみに、定量研究においては、過去の先行研究の役割は、主張や内容を引用するだけではありません。先行研究が用いている変数や、変数の設定方法までも引用するのです。
というのも、そのような手続きを踏まないと実証研究にしろ、主張を覆すにしても、同じ方法で乗っ取って引用していかないと「違う方法だから結果が違うんでしょ」と言われかねないからです。なので、私たちも山下・山田(2010)に倣って、変数を設定したのです。

話はそれましたが、このような膨大なデータ処理のため、一つの作業工程に大幅な時間がかかり、結局、データセットをつくり分析結果が出たのは、14日でした。

そんな苦労に苦労を重ねて出した、分析結果はというとキャリア連帯そのものは興行や芸術に負の関係がありました。(キャリア連帯を構築するほど、興行も芸術も悪くなる)
しかし、プロデューサーが過去に自分が携わってきた映画で協働して積み重ねてきた制作者のネットワークの密度が濃い場合、キャリア連帯は興行や芸術に対して正の関係です。
(プロデューサーのネットワークが密の濃い場合、キャリア連帯は興行や芸術をあげる)

密度が濃いネットワークとは、閉鎖性が高いネットワークとも言いかえられ、そのネットワークの中では、お互いの信頼が深まり、暗黙知の共有が進むとされています。

映画であれば、監督の世界観や、価値観が周りのスタッフにも浸透しており、監督が細かい指示を出さなくても、スタッフが察することで、監督の撮りたい映像を撮ることができるような状態を指します。

この分析結果から
山下・山田(2010)が述べているように、映画プロデューサーと監督のキャリア連帯は外部の関係をしっかり構築してはじめて価値を生み出せるものだと、私たちは解釈しました。

そして、私たちはこの結果と解釈で、井上先生のところへ、新年はじめての相談へ伺いました。

が、またも私たちは気づかないうちに、同じ過ちをしてしまっていたのです。

「密度という指標では、外部の関係を捉えられていない」

過去築いた人たちのネットワークではなく、その映画で協働した制作者たちと過去にどのくらい協働したか、その人たちとどのような関係を構築したのかという指標でなければ
外部の関係は測定できないと言われました。

ネットワーク密度とは、
「ネットワークにおいて行為者同士の関係が、そのくらい密接であるのかの程度」であり、
「実際に存在する紐帯の数を、理論的に存在可能な紐帯の数で除して計算する」とされています(安田, 2001)
密度は1~0の値をとり、1に近づくほど密度が高いと言えます。この定義から、私たちは密度が高くなるほど、周囲の関係が構築されていると言えるのではないかと考えていました。
しかし、実際におこる現象を考えてみると、全く違うことがわかりました。プロデューサーは作品ごとに製作チームを組織し、製作スタッフと協働しながら映画製作を行います。これは、プロデューサーがその製作チームのスタッフ全員とつながりをもつことを示しています。

言い換えれば、プロデューサーがその製作チームに対してもつ、ネットワークの密度は「1」になるということです。それは、はじめて映画制作をしたプロデューサーの密度は「1」、
その後、異なる製作チームと映画を作れば約「0.5」のように、密度には減少していく傾向があることも示しています。

たしかに、次のプロジェクトで同じ製作スタッフと協働すれば、密度は高いままですが、それは「密度」ではなく、他に適して指標で測られるべき現象です。つまり、私達が密度を用いて測定していたのは、同じ製作スタッフとの協働度合いという密度で測るべきでないものでした。

さらに、
キャリア連帯を測定する協働の集中度についても、問題点を指摘されました。協働の集中度だと、どんな監督と組んでも値が、最高値である1になってしまう。そのため、分析結果が負の相関になりやすくなるのです。

ただ、幸いにも先生からは、協働の集中度に変わる変数を使って、キャリア連帯をしっかり実証研究するようアドバイスを頂き、研究の方針がしっかり定まってきました。

これからが踏ん張りどこです。
卒論提出が近づいているため、アウトライン作成と並行して、分析を行わなければなりません。きついですが、もう少しで完成なので気張っていきます。

それでは。
串田

2011年12月28日水曜日

変数の妥当性とは?

新年まで、もうあと3日ですね。どうも、串田です。

地元の神社や商店街では、年越し準備に取り掛かっている光景をよく見ます。この光景を目の当たりにすると、一年を振り返ります。でも、思い返される光景は、ゼミばかり。夏合宿に、インゼミに、冬合宿。これだけ、一年を振り返ってゼミばかりというのは、一生懸命ゼミに取り組んだのだと、今頃になって実感する今日この頃です。

冬合宿が終わってから映画の制作者やアカデミー賞などデータを集めるのと同時並行で、冬合宿前までに立てた仮説の分析を行っていました。
仮説1:流行物が原作の場合、製作者ネットワークが閉鎖的だと、興行収益が高まる
仮説2:過去の名作が原作の場合、製作者ネットワークが開放的だと、興行収益が高まる。

しかし 、思ったような分析結果は出ませんでした。重回帰分析の結果、原作に有意性がないと出たり、モデル内の変数間にいくつもの重なりがでたりしました。そこで、私たちは制作者のネットワークだけに焦点を絞って、新たに分析を行っていました。

分析結果はというと、なんとか出すことが出来ました。分析結果から、創造性(興行収益・芸術得点)をあげるには、以下の2通りの方法があるということがわかりました。

1,プロデューサーが監督と弱い紐帯を持つこと。
弱い紐帯とは、ネットワーク論における主要な概念の一つで、つながりの浅い人からのほうが、自分が知らない新しい情報を手に入れられるという考え方です。

ここから、弱い紐帯をもつプロデューサーは、企画志向であり、新規性の高い情報を手に入れることができるため、高い創造性を発揮できるのだと、私たちは考えました。

2,プロデューサーが監督と強い紐帯を持つ、かつ、他の製作スタッフと密な関係を構築すること。
強い紐帯も、ネットワーク論における主要な概念の一つで、つながりの深い人とは、信頼関係が構築されており、暗黙知の共有がなされるという考え方です。さらに、密度が濃いネットワークは、閉鎖性が高いネットワークとも言いかえられ、そのネットワークの中では、お互いの信頼が深まり、暗黙知の共有が進むとされています。

ここから、強い紐帯をもつプロデューサーは、信頼志向であり、監督やスタッフとの価値観や世界観の共有がなされているため、高い創造性が発揮できるのだと、私たちは考えました。

分析結果を終え、「これで終わりだー!新年は、平穏無事に迎えられる」と意気揚々と先生の研究室へ相談に行きました。

しかし、「この変数のつくり方じゃあとらえきれてない」。

自信を持って臨んだこの分析の結果も無残にも散っていきました。
私たちはここにきて、変数をいかに正確に設定するのかという難しさに直面しました。本来であれば、先行研究を参考にして、変数を作っていきます。しかしながら、今回の分析にかんしてはあまり先行研究がみつからず、自分たちで変数を設定しなければなりませんでした。
ネットワークデータを観測範囲の初年度から、当該年度までの累積データで作っていたのです。

例えば、
2000年までのプロデューサーの累積成績は、1990~1999年までの累積ネットワークデータ、
2001年までのプロデューサーの累積成績は、1990~2000年の累積ネットワークデータ
で説明するというように、
後の年度になるにつれて、ネットワークデータの量が増えていくという形です。

これには問題点があります。
「現在のネットワークデータが、過去の成績を説明することになる」という問題です。私たちは、キャリア連帯の成果を、そのプロデューサーがこれまで製作に関わった映画の興行収益の累積平均であるとしていました。
例えば、これまでに製作に関わった映画の興行収益が5億、10億、15億であれば、
51015/3=10です。

当該年に関わった映画だけでなく、当該年以前に関わった映画の結果も含まれています。
その累積平均興行収益を、現在までの累積ネットワークで説明するということは、間接的に、現在のネットワークの値が、過去の興行収益を説明するということになります。それでは、因果関係が逆になってしまいますよね。

この「累積の問題点」のフィードバックをいただき、わたしたちは、もう一度データベースを作りなおすことに決めました。とても大変ですが、弱音はいている暇はありません。年越しはメンバーで合宿を行うので、ここで挽回したいと思います。

それでは。
串田
 

2011年12月15日木曜日

データ制作奮闘記~効率のよいデータ収集とは~


こんにちは。串田です。
学校に通う電車のなかで「クリスマスどうする?大晦日は?」なんて会話を、耳に挟んで、もう年の瀬なんだなぁと実感している毎日です。

私はというと、冬合宿が終わってから膨大なデータを打ち込んでいました。というのも、前回の記事でもお話しましたが、映画班は冬合宿前に、大きな路線変更があったからです。
それは、「企業」ネットワークではなく、「人」ネットワーク、つまり原作を活かすような製作者ネットワークがあるのではないかという方向性です。

しかし、私たちはまだ制作者のデータが未入力であるという大きな問題があります。そこで、冬合宿が終わってから、各自、大量のデータ打ち込みに没頭していました。

私の担当は以下の3つでした。
①プロデューサーのネットワークを製作するために3000本の映画の制作者データ
②興行収益に影響を及ぼすであろうものとして出演俳優や監督の実力を測定するために、日本アカデミー賞やブルーリボン賞などから監督賞や主演俳優などの賞
③原作そのもの良さも興行収益に関係するのではないかと考え、マンガやドラマ、小説にかんする賞

あまりの膨大な量に最初は先が見えなくて不安でした。しかし、幸いにもネットでデータを見つけることができたので、データ収集を思ったより早く片付けることができました。
本来なら、学校の図書館や国会図書館に行き、データを手作業で打ち込まなければならなかったので、助かりました。
データがネットにある場合は、それを有効活用するに限ります。なにせ、コピーをして貼り付けるだけなので、作業効率が何倍も違いますからね。



私の所感では、研究に打ち込んでいると、何か足りないデータがあったら図書館っていう発想になりがちなので、こういったデータ収集の際は、ネットを有効に使い、作業を効率化させることは、時間が限られている研究では、とても重要になってくると思います。

なので、もし、データを打ち込む際は、まずネットにデータがあるかどうか確認することをお勧めします。

今後は、このデータ収集が報われることを祈りながら、仮説を分析するために収集したデータを整理して、年末に向けて頑張りたいと思います。

それでは。
串田

2011年12月12日月曜日

冬合宿 ~研究の方向転換~

こんにちは
平野です。

とうとう冬合宿!
映画班は、三橋ゼミとのインゼミで頂いたアドバイス(コントロール変数など)を参考にし、冬合宿に向けて、分析を繰り返してきました!

しかし、求めていたような結果は出ませんでした。冬合宿までに行った分析とは、インゼミ前の本ゼミで頂いたアドバイスをもとに構築した「原作を活かす、企業ネットワークがあるのではないか」というリサーチクエスチョンです。このリサーチクエスチョンのもと、原作と興行収益の関係に、交互作用項として製作委員会に所属する「企業のネットワーク」を入れて回帰分析を行いました。
回帰分析とは、例えば「気温が高くなればなるほど、アイスクリームの売上が高くなる」のような、変数間の関係を明らかにするための分析です。
(「回帰分析」についての詳しい説明は、アイスクリーム統計学を参照! http://kogolab.chillout.jp/elearn/icecream/index.html
(「交互作用」とについては、ハンバーガーの統計学の第7章を参照!http://kogolab.chillout.jp/elearn/hamburger/chap7/sec0.html

具体的には、以下の大きく4つのモデルをつくり、回帰分析 を行いました。
1,原作→興行収益
2,ネットワーク→興行収益
3,原作+ネットワーク→興行収益
4,原作×ネットワーク→興行収益 (交互作用)

モデル1,2,3では、原作とネットワークがそれぞれ独立して、興行収益に与える影響を確認しています。対して、モデル4では、原作とネットワークの交互作用があるかどうか、ある場合はその度合いを確認しています。

分析結果は、交互作用項に有意がついたモデルであっても、変数間に多重共線性が出てしまうというものでした。(「多重共線性」とは、変数間に強い相関があることで、分析結果の信頼性が低い状態のことを指します。簡単に言い換えると、多重共線性が出ている分析結果は、正しくない可能性が高いということです。)
つまり、企業のネットワークを交互作用項として入れた分析では、思わしい結果がでなかったということです。

分析結果がでない以上、企業のネットワークを軸に、研究を続けていくことはできません。
よって、私達はネットワークを測る対象を、「企業」から「製作スタッフ」へと変更しました。

スタッフが興行収益に影響を及ぼす要因は、ノウハウや価値観の共有です。閉鎖的なネットワークに位置し、これまでに何度も協働を重ねていれば、監督の価値観を共有する事ができ、必要な技術ノウハウも獲得することができます。よって、スピーディーかつ監督の思い通りに、映画が作れると考えました。逆に、開放的なネットワークに位置し、他の様々なスタッフと協働を重ねることで、新しい知識や情報を得ることができます。よって、他の映画よりも新規性が高く、ユニークな作品ができるのではないかと考えました。

また、製作スタッフのデータを入手できたことが、変更を決意した理由の一つです。定量研究をするにあたり、最も重要な条件の1つとして、データが入手できることがあげられます。いくらおもしろいリサーチクエスチョンを立てたとしても、それを実証するためのデータがなければ、元も子もありませんよね。

私たちは、映画名、ジャンル、製作スタッフの一覧が掲載されている、WEBサイトを見つけました。キネマ旬報データベースという、キネマ旬報社が提供しているWEBサイトです。(http://www.kinejun.jp/
キネマ旬報社は、1919年から映画雑誌を発刊している、いわば映画業界の大御所で、信頼できるデータベースだと言えます。キネマ旬報データベースの製作スタッフのデータを元に、私たちは映画製作スタッフのデータベースを構築しました。

そして、原作の特性とネットワーク特性をあわせて、仮説を導出しました。

仮説1
流行物が原作の場合、製作者ネットワークが閉鎖的だと、興行収益が高まる

流行物は、流行を逃さないように通常よりも短期間で製作しなければなりません。
その際、製作スタッフのネットワークが閉鎖的であれば、お互いを信頼しているとともに、価値観の共有が進んでいるので、流行物をスピーディーに映画化することができると考えました。

仮説2
過去の名作が原作の場合、製作者ネットワークが開放的だと、興行収益が高まる。

過去の名作が作られたときと映画化するときでは、時代背景が違います。
過去のままではなく、現代のコンテクストを吹き込んだアイディアを付与することで、
原作の良さを維持しながら、現代の観客にも受け入れやすい作品を作る必要があります。その際、製作スタッフが、開放的なネットワークに位置していた際には、新しい知識やアイディアを得る可能性が高いため、過去の名作を現代の文脈に沿った映画化に成功することができると考えました。

製作スタッフの分析は、冬合宿までにすることが出来なかったため、リサーチデザインのみの発表となりました。

フィードバックでは、
「もっと様々な切り口で、原作の分類ができるのではないか」
という指摘をいただきました。これまで、原作を「コンテンツ変換数」と「コンテンツ変換種類」「コンテンツ変換時間」の3種類で分けていました。しかし、これだけにとらわれる必要はありません!私たちは、「文字媒体か映像媒体か」、「人気作品か否か」、「ジャンル」、「監督主導かプロデューサー主導か」など、様々なアイディアを出し、今後の分析における変数を作成していくことになりました。

もちろん、製作スタッフのデータベースをしっかり整理して、ネットワークの値を出すことが前提です。冬合宿が終わり次第、すぐにデータベースを構築しなければなりません。
忙しいですが、頑張っていきたいと思います

それでは
平野