2011年9月30日金曜日

統計分析敢行!!!しかし…


班員の助けもあり、大学院進学が無事決まりました。
感無量です。
映画班最後の一人、平野貴士です。
               
今回は、分析のためのデータベース作成と分析結果について書きますね!


 
前回は、原作から映画までの過程をまとめたデータベースを作りました。 これは、映画のもととなる原作が、どのような媒体を経て映画化されるに至ったのかを、忠実にまとめたデータベースです。 「番号-映画名-公開年月-原作コンテンツ①-その年月-変換後コンテンツ-その年月--映画その年月」のように、エクセル一行の中のそれぞれのセルに、各情報が入っています。
しかし、このままの形では統計分析にかけることはできません。統計分析をするにはこれらのデータを、さらに数字へ置き換える必要があるのです。

原作から映画までの過程をまとめたデータベース①


私たちは、コンテンツがその世界観を変えながら、マンガやドラマなどの様々なメディア媒体に移り変わる現象を、「コンテンツ変換」と呼んでいましたね。
さらに私たちは、コンテンツ変換を以下の4つの切り口で見ることにしました。
「数」:コンテンツ変換を何回したか。
「種類」 :コンテンツ変換過程に何種類の媒体があるか
「原作出現から映画化されるまでの時間」:原作の出現から映画化までに、何ヶ月かかったか。
「コンテンツ変換の平均所要時間」:(「原作出現から映画化されるまでの時間」/コンテンツ変換数)
これは、前回のデータベースを分析用に加工したデータベースです。


①  のデータベースを元に、すべての映画の「数」「種類」「原作からの時間」「平均時間」
を算出したものになります。これでデータ加工は終了です!!

 
次に加工が済んだデータを用いて、相関分析という統計分析をしました。
相関関係とは、2つの変数が相互に関係していることを指し、そのような関係を分析することを相関分析と言います。誤解を恐れずに言うと、「気温が高くなるほど、アイスの売上が上がる」のような関係のことです。
(分析の手法については、ブログの内容が分かる程度に、触れるつもりです。もっと詳しく知りたい方は、「ハンバーガーの統計学」http://kogolab.chillout.jp/elearn/hamburger/index.html)というサイトをご参照ください。とてもわかりやすい説明を読むことができます!!)


 
分析の結果、興行収益を相関関係が生じていたのは、「数・種類・ドラマ」でした。つまり、コンテンツ変換の数と種類が多いほど、また、経路にドラマが入っていると、興行収益が上がるという結果が言えそうです。

・・でも、この結果って普通ですよね??
「多種多様な媒体による宣伝」と「ドラマからの映画化」によって、映画の興行収益が上がることは、業界の人々の中では一般的なことです。感覚的に気づいていて、「もう知っている」と思われていることを研究しても、その研究に大きな価値は有りません。
(もちろん実証したという価値はあるのですが・・・。)
なにか、もっと意外性のある傾向は無いのか、まだまだ探ってみる必要がありそうです。

平野

2011年9月9日金曜日

データベース構築

暑かった夏も終わりに近づいていますね。
すると、スポーツの、食欲の、芸術の、そして読書のですね。
虫の音と共に、床についています。

どうも、湯尾大祐です。

前回の夏合宿でOB/OGから、個別事例を探っていくようアドバイスをいただいたのですが、事例をみるにしても何に注目して、読んでいったらいいのか分かりませんでした。そこで、班のメンバーと相談して、データを構築して少しでも特徴を洗い出してから、文献を読んだ方が効果的だという意見になりました。なので、事例は探しつつも、まずは前回の夏合宿で院生の方から頂いたアドバイスを参考に、データベースの構築に取り組むことにしました。

最初の記事でも記載しましたが、私たちは、原作発売・発行から、その原作が映画化されるまでに、異なる種類の媒体をたどって映画化されるまでの過程を「コンテンツ変換」と名付け、その過程をひとつひとつ辿っていくことで、売れる映画の法則性を明らかにしようとしています。

では、その過程をどのように追いかけているか。
それは、皆さんのパソコンにも入っているエクセルにお世話になっています。
下の図のような感じで映画名、公開年、月、コンテンツ1(最初のコンテンツ)・・・のように、映画を一つずつ調べ、まとめていくのです。





その際のソースは、国立国会図書館ホームページ(http://www.ndl.go.jp/)や、テレビドラマデータベース(http://www.tvdrama-db.com/) です。ここには、ドラマ・アニメ・小説・マンガといったものが集約されているので、すぐに発見できます。
この作業を何度も繰り返していき、本日ついに1990年~2009年までの邦画のデータベースが完成しました。

その際、量が膨大だったので、班員で担当を決めて、それぞれが入力を行いました。入力ミスを防ぐため、自分の担当範囲の打ち込みが終わったら他の人が打ち込み終わった範囲をもう一度調べ直すという、ダブルチェック体制を取りました。(チェック作業では、精神力が試されました。)

データベースには、原作から映画までの成り行きが描かれています。そのため、小説からドラマに、そこから映画に到達したりマンガからアニメに、そこから映画制作に至ったり、多くの流れが見て取ることができます。

けれど、定量的アプローチの醍醐味はここからです。私たちはやっとスタートラインに立てました。定量研究はエクセルにデータを打ち込むだけで終わりでなく、データと対話をしていくことに意味があるのです。つまり、私たちがまとめたデータから、どのような現象が起こっているのか、意味づけをしていく作業が重要なのです。私たちはさっそく、この作業に移ることにしました。

すると、原作を用いた映画数は年月が経つにつれて、全映画作品に占める割合が増加していることや、1990年代は、アニメや小説の原作が多くなるが、2000年代にはドラマが用いられることが多くなっていること、1998年に一気にコンテンツ変換数が多い映画が増えていることなどが、データから読み取れました。

しかし、データを重点的に見ていくと言ったのですが、忘れてならないのは、データのみに頼るのではなく、夏合宿でもOBからアドバイスを頂いたような論文や雑誌記事など、他の情報も取り入れながらやっていくことですね。なぜなら、データは確かにその時代の流行の傾向を数値で表しますが、その流行を作った人間たちはどのような働きをしていたのか、あるいはその傾向を違った見方で捉えている第三者達もいるからです。だから、映画産業に関する書籍、専門誌のインタビュー記事、学者が執筆した論文など、多くの情報を自分たちに取り入れながら、数値データを統合して研究を進めていくことがこれからは必要だと思っています。

それでは!

2011年9月2日金曜日

夏合宿を終えて




はじめまして。井上ゼミ8期の串田一生(かずき)です。

今回は、初投稿ということもあり、はじめに私たちの自己紹介と研究内容について説明したいと思います。さらに6日前に終えたばかりの夏合宿について触れていきます。

1:映画班のメンバー紹介
①  平野貴士(愛称:ひらやん)
主張が激しいメンバーのなかでは調整役に徹する緩衝材。
将来、学者になるために只今、院試にむけて勉強中。
研究にかんしてのひたむきさと、持続力は誰にも負けない。

②  湯尾大祐(愛称:だいすけ:ゆおちゃん)
6月にアメリカ留学から帰国したばかりのサッカー少年。
周りを気遣う優しさと高校サッカーで鍛えた徹夜も軽々にこなすバイタリティは群を抜く。
最近の口癖は「アメリカだと・・・・。」

③  串田一生(愛称:くっしー)
意見のぶつかり合いにどんどん突っ込む暴走列車。
よくもわるくもメンバー1主張が激しい男。
ただ、雰囲気が悪くなったときの、笑いの取り方には定評があると
自分のなかで勝手に思い込んでいる。

そんな個性豊かな私たち3人で、これから頑張って研究に取り組んでいきます。

2:映画班の研究内容
私たちは、日本の映画業界を対象にして、特にその原作に注目しています。近年、日本の映画は洋画の総売上を抜き、高い興行収益を上げるようになってきました。その背景には、様々な要因がありますが、既に売れている作品を映画化する手法が挙げられます。例えば、小説やマンガといった、紙媒体の作品。アニメやドラマといった、映像媒体の作品。他にも、写真集や史実、絵本からというのも存在します。
(こういうところからヒントを得て映画化する日本はさすがだと個人的に思います)



こういった原作が、映画まで違う媒体を、たどって映画化されるまでの過程を私たちは「コンテンツ変換」と名付け、映画が生まれるスタートから時系列的に追いかけています。そのなかで、どういった過程を踏むことが、映画の興行収益をあげるために重要なのか?
視聴者にとても認知されているドラマを映画化することが重要なのか?
映画公開前に関連小説やアニメなどを放映し、映画にすることが重要なのか?
このような疑問をもとに、映画公開までのプロセスに焦点をあてて、研究をおこなっています。

3:夏合宿
ここまで軽く自己紹介と研究内容をしてきましたが、ここからは、井上ゼミ恒例の夏合宿について話していきます。

つい6日前、私たちは夏合宿にいってまいりました。そんな夏合宿には、井上ゼミのOB/OGの方々が来てくださいます。私たちも先輩方にみてもらうことができる機会だ!ということで、強い意気込みを持って発表に臨みました。しかし、かえってきたアドバイスは、厳しく鋭かったです。

「現実的には、どういった感じで起こっているの?雑誌記事や文献などみてみた?」
「データを整理するのも重要だけど、もっと個別事例をみていくべきだよね。踊る大捜査線とかどうなの?」

私たちは質問に答えるのに戸惑ってしまいました。しかしながら、データベース構築に追われていた自分たちにとって、過去に論文を執筆されてきた先輩たちの意見は、とても貴重でした。これから、データベースの構築に加えて、個別事例の検索という新たにやるべきことが見えてきからです。

また、院生のかたにはデータベース構築のアドバイスもマンツーマンで教えていただきました。映画ができるまでの経路がわかるようなデータベースを作る方法です。すべての映画について、映画のタイトル、映画の公開年月日、原作のタイトル、原作の製作年月日、原作の媒体を調べて、エクセルのセルに記述していくというやり方でした。

発表の後は、OB/OGや院生の方とともにバーベキューを行い、楽しい時間を過ごすことができました。仕事のお話、昔のゼミはどのような雰囲気で研究や活動に取り組んでいたか、といった普段なかなか聞くことのできないお話しを聞くことができ、とても貴重な時間となりました。こういったところで井上ゼミの文化が伝承されていくのだなと、個人的に感じています。

まだまだ、データの打ち込みや分析等、先は長いですが頑張っていい論文を書ききりたいと思います。




それでは
串田。