2011年12月12日月曜日

冬合宿 ~研究の方向転換~

こんにちは
平野です。

とうとう冬合宿!
映画班は、三橋ゼミとのインゼミで頂いたアドバイス(コントロール変数など)を参考にし、冬合宿に向けて、分析を繰り返してきました!

しかし、求めていたような結果は出ませんでした。冬合宿までに行った分析とは、インゼミ前の本ゼミで頂いたアドバイスをもとに構築した「原作を活かす、企業ネットワークがあるのではないか」というリサーチクエスチョンです。このリサーチクエスチョンのもと、原作と興行収益の関係に、交互作用項として製作委員会に所属する「企業のネットワーク」を入れて回帰分析を行いました。
回帰分析とは、例えば「気温が高くなればなるほど、アイスクリームの売上が高くなる」のような、変数間の関係を明らかにするための分析です。
(「回帰分析」についての詳しい説明は、アイスクリーム統計学を参照! http://kogolab.chillout.jp/elearn/icecream/index.html
(「交互作用」とについては、ハンバーガーの統計学の第7章を参照!http://kogolab.chillout.jp/elearn/hamburger/chap7/sec0.html

具体的には、以下の大きく4つのモデルをつくり、回帰分析 を行いました。
1,原作→興行収益
2,ネットワーク→興行収益
3,原作+ネットワーク→興行収益
4,原作×ネットワーク→興行収益 (交互作用)

モデル1,2,3では、原作とネットワークがそれぞれ独立して、興行収益に与える影響を確認しています。対して、モデル4では、原作とネットワークの交互作用があるかどうか、ある場合はその度合いを確認しています。

分析結果は、交互作用項に有意がついたモデルであっても、変数間に多重共線性が出てしまうというものでした。(「多重共線性」とは、変数間に強い相関があることで、分析結果の信頼性が低い状態のことを指します。簡単に言い換えると、多重共線性が出ている分析結果は、正しくない可能性が高いということです。)
つまり、企業のネットワークを交互作用項として入れた分析では、思わしい結果がでなかったということです。

分析結果がでない以上、企業のネットワークを軸に、研究を続けていくことはできません。
よって、私達はネットワークを測る対象を、「企業」から「製作スタッフ」へと変更しました。

スタッフが興行収益に影響を及ぼす要因は、ノウハウや価値観の共有です。閉鎖的なネットワークに位置し、これまでに何度も協働を重ねていれば、監督の価値観を共有する事ができ、必要な技術ノウハウも獲得することができます。よって、スピーディーかつ監督の思い通りに、映画が作れると考えました。逆に、開放的なネットワークに位置し、他の様々なスタッフと協働を重ねることで、新しい知識や情報を得ることができます。よって、他の映画よりも新規性が高く、ユニークな作品ができるのではないかと考えました。

また、製作スタッフのデータを入手できたことが、変更を決意した理由の一つです。定量研究をするにあたり、最も重要な条件の1つとして、データが入手できることがあげられます。いくらおもしろいリサーチクエスチョンを立てたとしても、それを実証するためのデータがなければ、元も子もありませんよね。

私たちは、映画名、ジャンル、製作スタッフの一覧が掲載されている、WEBサイトを見つけました。キネマ旬報データベースという、キネマ旬報社が提供しているWEBサイトです。(http://www.kinejun.jp/
キネマ旬報社は、1919年から映画雑誌を発刊している、いわば映画業界の大御所で、信頼できるデータベースだと言えます。キネマ旬報データベースの製作スタッフのデータを元に、私たちは映画製作スタッフのデータベースを構築しました。

そして、原作の特性とネットワーク特性をあわせて、仮説を導出しました。

仮説1
流行物が原作の場合、製作者ネットワークが閉鎖的だと、興行収益が高まる

流行物は、流行を逃さないように通常よりも短期間で製作しなければなりません。
その際、製作スタッフのネットワークが閉鎖的であれば、お互いを信頼しているとともに、価値観の共有が進んでいるので、流行物をスピーディーに映画化することができると考えました。

仮説2
過去の名作が原作の場合、製作者ネットワークが開放的だと、興行収益が高まる。

過去の名作が作られたときと映画化するときでは、時代背景が違います。
過去のままではなく、現代のコンテクストを吹き込んだアイディアを付与することで、
原作の良さを維持しながら、現代の観客にも受け入れやすい作品を作る必要があります。その際、製作スタッフが、開放的なネットワークに位置していた際には、新しい知識やアイディアを得る可能性が高いため、過去の名作を現代の文脈に沿った映画化に成功することができると考えました。

製作スタッフの分析は、冬合宿までにすることが出来なかったため、リサーチデザインのみの発表となりました。

フィードバックでは、
「もっと様々な切り口で、原作の分類ができるのではないか」
という指摘をいただきました。これまで、原作を「コンテンツ変換数」と「コンテンツ変換種類」「コンテンツ変換時間」の3種類で分けていました。しかし、これだけにとらわれる必要はありません!私たちは、「文字媒体か映像媒体か」、「人気作品か否か」、「ジャンル」、「監督主導かプロデューサー主導か」など、様々なアイディアを出し、今後の分析における変数を作成していくことになりました。

もちろん、製作スタッフのデータベースをしっかり整理して、ネットワークの値を出すことが前提です。冬合宿が終わり次第、すぐにデータベースを構築しなければなりません。
忙しいですが、頑張っていきたいと思います

それでは
平野

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