今回も湯尾が担当いたします。
先日のデータ分析の結果、私たちはついにそれを活かして論文を書き始めるための材料を揃えることに成功しました。
けど、すぐさま調理は始めません。材料をどう調理するかのレシピを作ります。それが研究でいうならば、アウトラインにあたります。
アウトラインをしっかり書く意義は、研究論文を支える骨子を固めることだと思います。
何かを書くことは、ほとんどの場合読み手を必用とします。言い換えるならば、読み手がいないということはほぼなく、それは相手への伝達を第一義の目的とします。その彼らに伝えるべきものを、明確にわかりやすくするために、必要最低限の主張と論理を展開するのがアウトラインです。だから全体を執筆する前にしっかりと骨組みだけを組み立てます。
このアウトラインの段階で、先生や院生、同期のフィードバックが入り、ここでしっかりとした骨子が書けないと、全体を描くことはできません。
こういったアウトライン作りですが、大変難しい作業です。
大体の論文には「型」がありますが、特に経営学の定量研究では、「先行研究のまとめ」が大変重要となります。
研究は先人達の知恵の蓄積の上になりたっているので、当たり前と言ったら当たり前ですが、特に定量研究の場合には、仮説の導出であったり、分析で使用する変数であったり、分析モデルであったり、ほとんどの研究内の要素は先行研究と紐づいています。だからこそ、定量研究では研究者が今まで「何を」「どのように」主張しているのかを丹念にたどっていく必要があります。
私たちの場合は、まず山下先生と山田先生が共同で書かれた「プロデューサーのキャリア連帯」という書籍を軸に、どのようなメカニズムが働いて商業的にも芸術的にも成功へと導く“創造性”が高まるかを綿密に読み込みました。
その中には海外ジャーナルなども多数引用されているので、そちらも何を主張しているのかを参照しました。
そして、実際まとめる作業にと移るのですが、ここもまた難しい。自分らのオリジナルの流れで先行研究をまとめるためには、細かい言葉の定義であったり、概念の内容であったり、それらが果たしている機能であったりをしっかり理解することが必用です。
たとえば、創造性という言葉自体、とてもアバウトな言葉で汎用性があります。ある人はこれを芸術性の源泉だと捉えます。もう一方で、これは企業におけるイノベーションを促すものだとも考えます。
そうです。人によって捉え方が異なります。研究者内でも多少のずれがあります。
だからこそ、多くの文献を読みこみ、比較することで、理解が促され、筋の通った先行研究となります。
そのようなことを続けて、結果、アウトラインもそれだけで、10,000字を雄に越えました。
さて、あとはこのアウトラインをもとに論文を執筆します。
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