2011年12月28日水曜日

変数の妥当性とは?

新年まで、もうあと3日ですね。どうも、串田です。

地元の神社や商店街では、年越し準備に取り掛かっている光景をよく見ます。この光景を目の当たりにすると、一年を振り返ります。でも、思い返される光景は、ゼミばかり。夏合宿に、インゼミに、冬合宿。これだけ、一年を振り返ってゼミばかりというのは、一生懸命ゼミに取り組んだのだと、今頃になって実感する今日この頃です。

冬合宿が終わってから映画の制作者やアカデミー賞などデータを集めるのと同時並行で、冬合宿前までに立てた仮説の分析を行っていました。
仮説1:流行物が原作の場合、製作者ネットワークが閉鎖的だと、興行収益が高まる
仮説2:過去の名作が原作の場合、製作者ネットワークが開放的だと、興行収益が高まる。

しかし 、思ったような分析結果は出ませんでした。重回帰分析の結果、原作に有意性がないと出たり、モデル内の変数間にいくつもの重なりがでたりしました。そこで、私たちは制作者のネットワークだけに焦点を絞って、新たに分析を行っていました。

分析結果はというと、なんとか出すことが出来ました。分析結果から、創造性(興行収益・芸術得点)をあげるには、以下の2通りの方法があるということがわかりました。

1,プロデューサーが監督と弱い紐帯を持つこと。
弱い紐帯とは、ネットワーク論における主要な概念の一つで、つながりの浅い人からのほうが、自分が知らない新しい情報を手に入れられるという考え方です。

ここから、弱い紐帯をもつプロデューサーは、企画志向であり、新規性の高い情報を手に入れることができるため、高い創造性を発揮できるのだと、私たちは考えました。

2,プロデューサーが監督と強い紐帯を持つ、かつ、他の製作スタッフと密な関係を構築すること。
強い紐帯も、ネットワーク論における主要な概念の一つで、つながりの深い人とは、信頼関係が構築されており、暗黙知の共有がなされるという考え方です。さらに、密度が濃いネットワークは、閉鎖性が高いネットワークとも言いかえられ、そのネットワークの中では、お互いの信頼が深まり、暗黙知の共有が進むとされています。

ここから、強い紐帯をもつプロデューサーは、信頼志向であり、監督やスタッフとの価値観や世界観の共有がなされているため、高い創造性が発揮できるのだと、私たちは考えました。

分析結果を終え、「これで終わりだー!新年は、平穏無事に迎えられる」と意気揚々と先生の研究室へ相談に行きました。

しかし、「この変数のつくり方じゃあとらえきれてない」。

自信を持って臨んだこの分析の結果も無残にも散っていきました。
私たちはここにきて、変数をいかに正確に設定するのかという難しさに直面しました。本来であれば、先行研究を参考にして、変数を作っていきます。しかしながら、今回の分析にかんしてはあまり先行研究がみつからず、自分たちで変数を設定しなければなりませんでした。
ネットワークデータを観測範囲の初年度から、当該年度までの累積データで作っていたのです。

例えば、
2000年までのプロデューサーの累積成績は、1990~1999年までの累積ネットワークデータ、
2001年までのプロデューサーの累積成績は、1990~2000年の累積ネットワークデータ
で説明するというように、
後の年度になるにつれて、ネットワークデータの量が増えていくという形です。

これには問題点があります。
「現在のネットワークデータが、過去の成績を説明することになる」という問題です。私たちは、キャリア連帯の成果を、そのプロデューサーがこれまで製作に関わった映画の興行収益の累積平均であるとしていました。
例えば、これまでに製作に関わった映画の興行収益が5億、10億、15億であれば、
51015/3=10です。

当該年に関わった映画だけでなく、当該年以前に関わった映画の結果も含まれています。
その累積平均興行収益を、現在までの累積ネットワークで説明するということは、間接的に、現在のネットワークの値が、過去の興行収益を説明するということになります。それでは、因果関係が逆になってしまいますよね。

この「累積の問題点」のフィードバックをいただき、わたしたちは、もう一度データベースを作りなおすことに決めました。とても大変ですが、弱音はいている暇はありません。年越しはメンバーで合宿を行うので、ここで挽回したいと思います。

それでは。
串田
 

2011年12月15日木曜日

データ制作奮闘記~効率のよいデータ収集とは~


こんにちは。串田です。
学校に通う電車のなかで「クリスマスどうする?大晦日は?」なんて会話を、耳に挟んで、もう年の瀬なんだなぁと実感している毎日です。

私はというと、冬合宿が終わってから膨大なデータを打ち込んでいました。というのも、前回の記事でもお話しましたが、映画班は冬合宿前に、大きな路線変更があったからです。
それは、「企業」ネットワークではなく、「人」ネットワーク、つまり原作を活かすような製作者ネットワークがあるのではないかという方向性です。

しかし、私たちはまだ制作者のデータが未入力であるという大きな問題があります。そこで、冬合宿が終わってから、各自、大量のデータ打ち込みに没頭していました。

私の担当は以下の3つでした。
①プロデューサーのネットワークを製作するために3000本の映画の制作者データ
②興行収益に影響を及ぼすであろうものとして出演俳優や監督の実力を測定するために、日本アカデミー賞やブルーリボン賞などから監督賞や主演俳優などの賞
③原作そのもの良さも興行収益に関係するのではないかと考え、マンガやドラマ、小説にかんする賞

あまりの膨大な量に最初は先が見えなくて不安でした。しかし、幸いにもネットでデータを見つけることができたので、データ収集を思ったより早く片付けることができました。
本来なら、学校の図書館や国会図書館に行き、データを手作業で打ち込まなければならなかったので、助かりました。
データがネットにある場合は、それを有効活用するに限ります。なにせ、コピーをして貼り付けるだけなので、作業効率が何倍も違いますからね。



私の所感では、研究に打ち込んでいると、何か足りないデータがあったら図書館っていう発想になりがちなので、こういったデータ収集の際は、ネットを有効に使い、作業を効率化させることは、時間が限られている研究では、とても重要になってくると思います。

なので、もし、データを打ち込む際は、まずネットにデータがあるかどうか確認することをお勧めします。

今後は、このデータ収集が報われることを祈りながら、仮説を分析するために収集したデータを整理して、年末に向けて頑張りたいと思います。

それでは。
串田

2011年12月12日月曜日

冬合宿 ~研究の方向転換~

こんにちは
平野です。

とうとう冬合宿!
映画班は、三橋ゼミとのインゼミで頂いたアドバイス(コントロール変数など)を参考にし、冬合宿に向けて、分析を繰り返してきました!

しかし、求めていたような結果は出ませんでした。冬合宿までに行った分析とは、インゼミ前の本ゼミで頂いたアドバイスをもとに構築した「原作を活かす、企業ネットワークがあるのではないか」というリサーチクエスチョンです。このリサーチクエスチョンのもと、原作と興行収益の関係に、交互作用項として製作委員会に所属する「企業のネットワーク」を入れて回帰分析を行いました。
回帰分析とは、例えば「気温が高くなればなるほど、アイスクリームの売上が高くなる」のような、変数間の関係を明らかにするための分析です。
(「回帰分析」についての詳しい説明は、アイスクリーム統計学を参照! http://kogolab.chillout.jp/elearn/icecream/index.html
(「交互作用」とについては、ハンバーガーの統計学の第7章を参照!http://kogolab.chillout.jp/elearn/hamburger/chap7/sec0.html

具体的には、以下の大きく4つのモデルをつくり、回帰分析 を行いました。
1,原作→興行収益
2,ネットワーク→興行収益
3,原作+ネットワーク→興行収益
4,原作×ネットワーク→興行収益 (交互作用)

モデル1,2,3では、原作とネットワークがそれぞれ独立して、興行収益に与える影響を確認しています。対して、モデル4では、原作とネットワークの交互作用があるかどうか、ある場合はその度合いを確認しています。

分析結果は、交互作用項に有意がついたモデルであっても、変数間に多重共線性が出てしまうというものでした。(「多重共線性」とは、変数間に強い相関があることで、分析結果の信頼性が低い状態のことを指します。簡単に言い換えると、多重共線性が出ている分析結果は、正しくない可能性が高いということです。)
つまり、企業のネットワークを交互作用項として入れた分析では、思わしい結果がでなかったということです。

分析結果がでない以上、企業のネットワークを軸に、研究を続けていくことはできません。
よって、私達はネットワークを測る対象を、「企業」から「製作スタッフ」へと変更しました。

スタッフが興行収益に影響を及ぼす要因は、ノウハウや価値観の共有です。閉鎖的なネットワークに位置し、これまでに何度も協働を重ねていれば、監督の価値観を共有する事ができ、必要な技術ノウハウも獲得することができます。よって、スピーディーかつ監督の思い通りに、映画が作れると考えました。逆に、開放的なネットワークに位置し、他の様々なスタッフと協働を重ねることで、新しい知識や情報を得ることができます。よって、他の映画よりも新規性が高く、ユニークな作品ができるのではないかと考えました。

また、製作スタッフのデータを入手できたことが、変更を決意した理由の一つです。定量研究をするにあたり、最も重要な条件の1つとして、データが入手できることがあげられます。いくらおもしろいリサーチクエスチョンを立てたとしても、それを実証するためのデータがなければ、元も子もありませんよね。

私たちは、映画名、ジャンル、製作スタッフの一覧が掲載されている、WEBサイトを見つけました。キネマ旬報データベースという、キネマ旬報社が提供しているWEBサイトです。(http://www.kinejun.jp/
キネマ旬報社は、1919年から映画雑誌を発刊している、いわば映画業界の大御所で、信頼できるデータベースだと言えます。キネマ旬報データベースの製作スタッフのデータを元に、私たちは映画製作スタッフのデータベースを構築しました。

そして、原作の特性とネットワーク特性をあわせて、仮説を導出しました。

仮説1
流行物が原作の場合、製作者ネットワークが閉鎖的だと、興行収益が高まる

流行物は、流行を逃さないように通常よりも短期間で製作しなければなりません。
その際、製作スタッフのネットワークが閉鎖的であれば、お互いを信頼しているとともに、価値観の共有が進んでいるので、流行物をスピーディーに映画化することができると考えました。

仮説2
過去の名作が原作の場合、製作者ネットワークが開放的だと、興行収益が高まる。

過去の名作が作られたときと映画化するときでは、時代背景が違います。
過去のままではなく、現代のコンテクストを吹き込んだアイディアを付与することで、
原作の良さを維持しながら、現代の観客にも受け入れやすい作品を作る必要があります。その際、製作スタッフが、開放的なネットワークに位置していた際には、新しい知識やアイディアを得る可能性が高いため、過去の名作を現代の文脈に沿った映画化に成功することができると考えました。

製作スタッフの分析は、冬合宿までにすることが出来なかったため、リサーチデザインのみの発表となりました。

フィードバックでは、
「もっと様々な切り口で、原作の分類ができるのではないか」
という指摘をいただきました。これまで、原作を「コンテンツ変換数」と「コンテンツ変換種類」「コンテンツ変換時間」の3種類で分けていました。しかし、これだけにとらわれる必要はありません!私たちは、「文字媒体か映像媒体か」、「人気作品か否か」、「ジャンル」、「監督主導かプロデューサー主導か」など、様々なアイディアを出し、今後の分析における変数を作成していくことになりました。

もちろん、製作スタッフのデータベースをしっかり整理して、ネットワークの値を出すことが前提です。冬合宿が終わり次第、すぐにデータベースを構築しなければなりません。
忙しいですが、頑張っていきたいと思います

それでは
平野

2011年12月2日金曜日

インゼミ②(稲垣ゼミ編)

またまた湯尾がお送り致します。

今日は前回の慶応大学三橋ゼミに続き、今年度2度目の対外ゼミ発表、
法政大学稲垣ゼミの皆さまとのインターゼミ、通称インゼミです。

昨年に引き続き二回目の交流ということで
お互い成長した姿を見せられたらと思い、臨みました。

まずは、相手の発表です。
今回は2班発表して下さいました。

ひとつめは、TOTOの事例を通して、
いかにウォッシュレットトイレットを海外、特に中国に根付かせていったかを
紹介して下さいました。

もうひとつは、昨今日本が力を入れている観光業を対象にして、
いかに人々を呼び寄せるかを、福岡の成功しているケースなどを紹介しながら、
研究発表してくださいました。

双方の発表に共通しているのは、国際的な視点から研究を行っていて、グローバル化の必要性があると言われている日本で、それ自体非常に価値ある内容だと思った点です。

また細かいところでは、情報の“量”が適切だったと感じたところ。情報量が無駄に多くなく、それでいて不足もしていないと感じました。

総じて、井上ゼミ生は学びのある研究発表を聞けたのではと個人的には思います。

次に、私達の発表です。

実は、前回の三橋ゼミとのインゼミから、スライド構成をほぼ一新しました。もう少し、いわゆる「パフォーマンス」を意図したスライド構成になっており、“掴み”や“落ち”などの引き付ける発表を意識しながら、作成しました。

その過程の中で井上ゼミでは、発表班ではない多くの仲間が支えてくれます。

自分らの研究を進めていく事も大変なのにも関わらず、私達に時間を割いて発表内容にフィードバックしてくれました。
「スライドの構成がわかりづらい」
「プレゼン中の目線は皆を向いた方がいい」
などなど。

それも一回練習とかではなく、一週間の半分ぐらい掛けて。
しかも「午前中に用事があるから午後に見るよ」と言ってくれる仲間もいて、
合計して、8~9回練習に付き合ってくれました。

ときにやさしく、ときにきびしく接してくれるのが、私達の同期です。

こうして試行錯誤の日々を送りながら、あっという間に発表する日になりました。

拙い話者なので、本当に通じたか通じなかったかはわかりませんが、多くの稲垣ゼミ生の方が質問やコメントを下さった点を鑑みると、少しは伝えられたのではないかと。

ここで、インゼミを通して感じたことをまとめます。インゼミを行うことの素晴らしさのひとつに、自分たちを客観的に見ることができる機会になるということがあります。

研究を進めていく中で、その推進単位は総じて同質化していく傾向にあると思います。
それは、多くの時間を共有する中で、お互いの好きなものが似てきたり、口癖が似てきたり、ひいては価値観すら似てきたりするときを感じます。

それは意思決定を早めたり、何が“いい”もので何が“悪い”ものかというのを集団内が感覚的に捉えたりすることができる点でいいことだと思います。しかしメリットにもなる一方で、その集団内のみが是だと捉え、他の集団の人々とコミュニケートしなければ、
多様で異質な情報・知識に触れられる機会が少なくなり、イノベーション的な視点や発想を得ることが困難になるデメリットなどもあります。

そういった意味で、定期的に組織外の人々と研究発表を聞く、話す等の機会があることは、研究を進めていく上で、多様な視点から研究を捉えることができるという点で、非常に価値あることだと考えています。

そうやって自分たちが“絶対”だと思いこまずに、他者と比べて自分たちの研究を進めていくことは大切だと思います。

今回の記事はインゼミから個人的に感じたことを綴ったものになってしまいました。
次回の記事からは再び研究内容について触れていきたいと思います。

2011年11月29日火曜日

インゼミ(三橋編)~インゼミから得られる新たな視座~

お久しぶりです。串田です

前回の本ゼミで新たに、製作委員会(※1)に連ねる企業のネットワークを組み込むという助言を頂いたのですが、インゼミの発表は今までしていたコンテンツ変換をしっかりした形のものにして発表を行うことに決まりました。
その後、本ゼミのアドバイスを参考にネットワークのデータベースを構築する作業を行いながら、私たちは慶応大学商学部の三橋平ゼミとのインゼミの準備を進めていました。

三橋ゼミとのインゼミは毎年恒例のイベントです。三橋ゼミと井上ゼミは、主たる研究手法が対照的です。井上ゼミでは、足を使ったフィールドワークを用いて研究課題を見つけたり仮説を検証したりします。一方で三橋ゼミでは、学会で蓄積されている理論への貢献を主眼に置いて、主に数値を用いた実証研究を行っています。簡単に言うと、三橋ゼミは「定量的アプローチ」、井上ゼミは「定性的アプローチ」を用いて研究を行います。

毎年、インゼミの開催場所は交互に行われますが、今年は慶応大学の三田キャンパスでの発表になりました。
また、いつもは互いのゼミから発表班が発表し、その研究結果に対して全体でフィードバックを行うという形式でしたが、今回はお互いの研究“報告”を行い、今後の研究への“アドバイス”という形でした。

私たちはこのインゼミで研究報告をさせてもらい、その後、三橋ゼミから普段、定量研究を専門にしているゼミならではの視点から、研究内容にかんしてたくさんの指摘を頂くことができました。特に、コントロール変数にかんしてはたくさんのアドバイスを頂きました。(コントロール変数:回帰分析で、直接興味はないが、従属変数に影響を与えてしまうような、独立変数のことを指します。たとえば、「気温」が「ソフトクリームの売上」に与える影響を調べたいとします。このとき、「ソフトクリームの売上」を左右するような要因としては、他にも「美味しさ」や「価格」なども考えられますよね?この「美味しさ」や「価格」のような要因のことを、コントロール変数と呼びます。コントロール変数を、回帰モデルに入れることで、直接興味のある説明変数の純粋な影響を調べることができます。)

例えば、TVなどで特別番組を組んで映画の宣伝をしていますが、この広告効果は映画の興行収益に大きく影響します。コンテンツ変換の影響がどれくらい興行収益に影響を与えるのかを正確に、測定するためにも広告効果を数字に落として制御しなければなりません。
しかし、このような広告効果を数字に落とし込むには、特別番組の回数だったり、広告製作費だったりとデータの取得可能性がとても難しいものばかりです。

それでも、三橋ゼミの方々から
製作委員会のメンバーに在京TV局がいれば「1」と、ダミー変数をおいて広告効果を代替する変数設定の案が出てきました。彼らは、定量研究を普段から行っているのでデータが取得できなくても、代替となる値をすぐに考え付くことができるのです。このように変数の値を柔軟に代替して設定できるとことは、定量研究ではとても重要であり、今回のインゼミから学べたことです。
(※1:映画を作る際、TV局や出版社、広告代理店などが2次利用の権利を得る代わりに、出資金を与える制度)



発表終了後の慶応大学からは、東京タワーがキレイに見えました。


来週は、法政大学とのインゼミがあるのですが
また新たな視座が得られるのではないかと、今からワクワクしています。

それでは
串田

2011年11月15日火曜日

コンテンツ変換とネットワーク

引き続き、湯尾が綴ります。

本日は本ゼミでの経過報告に臨みました。
しかし、今回は自分たちの中でもしっくりせずに発表することになりました。順調に分析と安藤先生へのフィールドワークを重ねた一方で、コンテンツ変換を“4つのタイプ(数の多い/少ない・原作からの時間が長い/短い)に分けてそれぞれの売れる法則を見つるといった課題を克服できずにこの日を迎えることになったからです。

コンテンツ変換を4つに類型化するためには、いわゆる漏れがなく、ダブりのない切り口が求められますが、そんなにきれいに上手くいかないのが現状でした。

結果中途半端な形のものを発表することになり、本ゼミの場のみんなも「きょとん」としていました。

さぁ、参った。どうしたものか。これが私たちの心の声でした。

そんなとき、「映画班は去年ネットワーク分析してたよね?」と先生が仰いました。
「それを絡めて論じることができるのではないだろうか。」と、きっかけを与えてくださいました。

ネットワーク分析とは、簡単にいうと組織同士や人々の関係性が、自分の行動や結果にどのような影響を及ぼすのかという研究です。
例えば、授業に毎回出ているのに、全然出ていないクラスメイトのほうが成績が高かったなんてこと、大学生の方なら経験があると思います。これをネットワークで説明すると、クラスメイトは自分より友達と仲がいいので、ノートを借りることができたり、テストに関する情報をもらえたりするので、成績がよくなるというわけです。

このネットワーク分析の視点で、昨年は映画産業に携わる映画会社の関係性を、分析したデータが残っていました。そのことを先生は思い出させてくれました。

そして、このネットワークの視点を絡めて、コンテンツ変換の研究を続けるならば、
「原作を活かす、企業ネットワークがあるのではないか」というリサーチクエスチョンが。たつわけです。

暗闇に光が照らされた気がしました。
これでまた新たに研究を進めていくことができそうです。

2011年11月3日木曜日

安藤先生インタビュー

皆さんいかがお過ごしでしょうか。湯尾です。

前回の先生との相談で、実務者の方にインタビューを行う必要があるとアドバイスを頂き、本日、井上ゼミでの大切な研究方法であるフィールドワークを行ってきました。
フィールドワークの大切さは、ゼミ生皆感じていますが、それはなぜか。

研究においては、「現象」と「理論」の結び付きがいかに整合性が取れているかが、非常に重要になってきます。実際に現実で起きている不思議な事象を、適切なレンズで覗き込む。これができていないと、研究が上手く進んでいきません。よって、井上ゼミでは、現場での声と理論との距離を縮める一環として、フィールドワークを重んじているのです。

その際、現場が持っている感覚や仕事の仕方などを、研究する側である私たちも、引き出しに仕入れていくこと、つまり知識のレベルを揃えること(専門家並みの知識量になるには生半可な努力が必要ですが…)が肝心になります。そのため、前回私たちはキネマ旬報をもう一度読み漁ったわけです。

さて、私たちは理論と現象の結びつきを確認するためにインタビューをお願いしました。
その相手は、安藤紘平先生。

早稲田大学は映画に関する授業が豊富で、その内容も充実。マスターズ・オブ・シネマやプロデューサー特論などを担当しているのが安藤先生です。

安藤先生はトノンレバン国際映画祭で短編部門グランプリなど数多く映画賞を獲得されています。そしてパリ、ニューヨーク、ロンドン、東京などの美術館に先生の作品が収められていて、2001年、2005年にはパリで安藤先生の回顧展が開催されています。ハイビジョンを使っての作品制作では世界的な先駆者で、ハイビジョン撮影を35mm フィルムに変換、「アインシュタインは黄昏の向こうからやってくる」(1994)、「フェルメールの囁き」(1998) などの多数の作品で、ハワイ国際映画祭銀賞、スイス・モントルー国際映像祭アストロラビウム賞、ハイヴィジョンアウォード・グランプリ、マルチメディア・グランプリなどを獲得しておられます。

その先生にインタビューをお願いしたのは、約1週間前。
授業を取っていた私たちは、授業後に突撃でお願いに行きました!

その際、心がけたのは
①  私たちが誰で
②  どのようなことをしていて
③  なぜお願いするにいたったかといった
3点を意識した内容のお手紙と昨年映画産業を対象にして執筆した論文を両手にぶら下げ、意気込んで頼みに行きました。
(これは、インタビューを申し込むときには絶対に意識しなければならないことです。
これらを行うことで、インタビューの可能性がぐっと近づきます。)

多忙な先生のため、断られる可能性の方が高いのではないかと踏んでいたのですが
意外にも先生は快く引き受けてくださいました。

そんな経緯があり、今日に至ったわけですが、
インタビュー中は、先生が多くのことを語ってくれて、その分多くの気づきを得ることに成功しました。
前回は、コンテンツ変換を4タイプに分け、その中でも、コンテンツの変換数が多く、原作からの時間が長い作品が、最も高い興業収益を挙げることを発見しました。私たちは、分析結果を安藤先生に見て頂き、その理由をお伺いしました。
「原作を映画化したいという申し込みは断られる場合がある。たとえば、マンガを映画化するとき、マンガが連載途中なのでと断られる場合がある。それは、映画が物語を完結させるメディアだという認識があり、原作者がその決着の仕方をまだ決めていないからである。また、連載途中や放映途中に映画化をして、その映画がコケてしまった場合、連載・放映途中の作品に傷がついてしまうのを避けたいからである。」とお答えいただきました。
つまり、元の素材のコンテンツがいいほど、映画化によってストーリー構成に影響を与えたくないと元の素材の制作者は考えます。そのため、ストーリーの途中で、中途半端に映画化に動かないため、結果として、原作からの時間が長くなる、ということでした。
インタビューなどのフィールドワークの良い点は、私達が抱いている疑問に遠回りせずに答えてくれるところです。たとえば、書籍や雑誌、論文などを読んでいて疑問を持つことがあります。その答えを探すのに、また文献をあさるのも一つの手段ですが、その答えがそこにはないことがあります。
しかし、専門家やその道のプロなどへのインタビューは、そのような遠回りをせずに直接答えを得ることが可能となります。実際、安藤先生のインタビューから得られた情報は私達の問題意識から発信される疑問にダイレクトに答える内容でした。
このように、直接質問をしたこと以外にも、安藤先生は多くのことを教えて下さいました。
エジソンから始まる映画ビジネスの起源から、映画のストーリーの黄金律。そして、私たちが注目している映画で使用される「原作」が使われるようになった背景、それらが果たしている機能などです。
インタビュー中は、安藤先生の圧倒的な知識量に、ただただ感動しておりました。

せっかく安藤先生から頂いた膨大な情報を無駄にしないよう、これから研究に生かしていきたいと思います!
では、今日はこの辺で。
湯尾

2011年10月25日火曜日

研究の方向性


おはようございます、串田です。

前回のブログで御報告したように、面白い分析結果を得ることができました。
そこで、私たちは分析結果をもとに先生へ相談に行くことに。

すると、先生からは
“4つのタイプ
1:コンテンツの変換数が多く、原作からの時間が長い
2:コンテンツの変換数が多く、原作からの時間が短い
3:コンテンツの変換数が少なく、原作からの時間が長い
4:コンテンツの変換数が少なく、原作からの時間が短い




に分けて、それぞれの売れる法則を見つけたらという貴重なアドバイスを頂くことが出来ました。相談前まではそれぞれのタイプには優劣があると思っていたため、このアドバイスは私たちにとって新鮮でした。先生とのディスカッションの中で、それぞれのタイプは何かしらの都合上選択せざるをえない可能性がある、ということに気づき、それぞれの売れる戦略を描くことは、実務者の方にもとても有益だという結論に至りました。そこで、私たちは4つのタイプそれぞれの売れる法則を見つけていくことにしました。

また“そろそろ、実務者の方にも相談して、この結果がなぜでたのか探っていく必要がある”とご助言を頂きました。確かに分析結果は出したものの、何故このような結果に至ったのかという理由は、まだわかりません。その背後にあるロジックを紡ぎださなければ、現象の本質には辿りつけない、実務者の方なら何かヒントを得られるのではないか、と先生が考えてくださり、私たちはさっそくインタビューを行うことにしました。

私たちは映画界の方にインタビュー依頼を行いつつ、自分たちでもある程度、映画の知識を持って、臨まなければインタビュー相手に熱意が伝わらないだろうと、今まで読んできたキネマ旬報の記事や書籍を、読み返したりしました。
また読み直すのか・・・という気持ちもありますが、実務者の方はプロフェッショナルです。失礼のないよう、知識を蓄え、頑張り抜きたいと思います。

それでは今日はこのへんで。
串田

2011年10月17日月曜日

分析再チャレンジ、発見か!?


こんにちは、平野です。
前回お伝えした通り、新しい分析にかけてみました!
相関関係が面白く無いなら、ほかの関係はないだろうか?ということで、「交互作用」をみるために、「二要因分散分析」という分析を行いました。
そして、その結果「数」と「映画化までの時間」に交互作用があることが判明しました!
・・・交互作用って何?分散分析って何?という疑問が浮かんだかと思います。
もちろん説明します!

「交互作用」とは、他の要因の水準によって、ある要因が従属変数に与える効果が異なることを指します。(また、従属変数とは「牛乳を飲むと、身長が伸びる」という仮説を例にとるとすると、「身長の高さ」になります。つまり、何かの要因が影響を与える結果のことを言います!ちなみに独立変数というのは、この例でいうと「牛乳を飲む量」になります!)「二要因分散分析」では数値しか出ないため、どのような交互作用が出ているかを理解するためにはグラフを書いて実際に値の変動を見てみることが必要になるのです。
(「交互作用」と「二要因分散分析」については、ハンバーガーの統計学の第7章を参照:http://kogolab.chillout.jp/elearn/hamburger/chap7/sec0.html


さて、今回私たちが交互作用を見て出た分析結果は「原作から映画化までの時間が長い場合は、コンテンツ変換数が多いほど興行収益は増加する。しかし、原作から映画化までの時間が短い場合場は、コンテンツ変換数が多いほど興行収益は減少する」というものです。

簡単に言うと、
「ただ、コンテンツ変換を繰り返せば売れるってことではない。長い時間をかけてじっくりやるのがコツ。短い時間でちゃちゃっとしても上手くいかないよ!」ということです。



・・・これは前回の結果よりも面白い結果が出ましたよ!!
なぜ面白いのか。それはメディアミックスの定説に対するアンチテーゼであるからです!メディアミックスとは、雑誌やテレビCMなど複数のメディアを組み合わせて商品を宣伝することを指します。定説では、短い時間に、多くのメディアを使って宣伝することがよしとされていました。しかし、今回の結果を見てみると、メディアミックスは、短い時間よりも、長い時間をかけて行うほうが良いと言えそうです。つまり、「定説でいわれていることと、真逆の結果が出た!」ということです。

なぜ、(定説では)最も売れるとされていた戦略が、否定されるという結果が出たのでしょうか?もしかしたら、企業にはその戦略を取らざるをえない理由があったのかもしれませんが、どうなのでしょうか・・?

分析結果も出て、研究は深みを増してきたように感じます!
今後は、交互作用の結果を元に、実際の映画製作ケースを見ながら、本質に迫っていきたいと思います!!

平野

2011年10月9日日曜日

右往左往中


お久しぶりです。
映画班の串田です。

夏合宿以降、原作から映画化までの過程に着目して、興行的に高い収益を上げる映画の特徴を描くという方針を探っていました。しかしながら、前回行った分析結果は当たり前すぎて、研究として面白くないのでは、と班でも悩んでいました。

そこで私たちは、夏合宿で映画の個別の事例を見てみたらというフィードバックを頂いたことを思い出し、そのアドバイスを生かそうということになりました。成功・失敗した映画の双方の映画に関する文献を、早稲田の中央図書館に籠って、映画専門雑誌“キネマ旬報”を読み漁ることにしました。特に、三階にあるバックナンバー書庫には過去の経営学や経済学、文学の雑誌が過去何十年分揃っていて便利なので、ぜひ利用してみてください。



図書館で読み漁ること数日、私たちは成功・失敗事例を見つけ出すことができ、それぞれを比較検討しながら、重要な要素を探しました。さらに、私たちはそれらの情報をもとに一つの仮説を立ててみました。

コンテンツが変化する中で、コンテンツの世界観を保ち、売れるコンテンツのまま映画に換えるということが大事であり、それを可能にするのはコアとなる制作者群を形成しなければいけない。

これはデータだけからは絶対に見つけられない発見でした。データばかりを使って、仮説を立てるのは現実の事例と乖離を引き起こして、何もおもしろくないものになってしまう。
個人的には大きな教訓となりました。

それからは小説・マンガ・ドラマ・アニメ・映画ごとの制作者をデータベース化作業に取り組んでいました。小説・マンガはネット上にデータが存在しないので国会図書館へ行き
小説・マンガの発行元を一冊ずつ調べていました。そして、そのデータをもとに再び分析にかけました。

しかし、ドラマを辿った映画だけしか制作者群が形成されていない。
小説に関与した人が、映画に関わっていない。
これでは、ドラマを辿った映画にしか言えないのではないか。

研究を始めて、私たちは大きな壁にぶつかりました。
そもそもこの研究の方向性が見えない・・・・

私たちは根本的な問題の浮上に対し、悩みに悩みましたが、
とりあえず一回立ち戻ってみて、データを分析にかけてみよう
ということで、、自分たちの過去の研究を振り返り、色々な分析にかけてみることに。

なかなか一筋縄ではいかない私たちの班の研究ですが、探究心を忘れず頑張りたいと思います。
それでは、また次回に!!
串田

2011年9月30日金曜日

統計分析敢行!!!しかし…


班員の助けもあり、大学院進学が無事決まりました。
感無量です。
映画班最後の一人、平野貴士です。
               
今回は、分析のためのデータベース作成と分析結果について書きますね!


 
前回は、原作から映画までの過程をまとめたデータベースを作りました。 これは、映画のもととなる原作が、どのような媒体を経て映画化されるに至ったのかを、忠実にまとめたデータベースです。 「番号-映画名-公開年月-原作コンテンツ①-その年月-変換後コンテンツ-その年月--映画その年月」のように、エクセル一行の中のそれぞれのセルに、各情報が入っています。
しかし、このままの形では統計分析にかけることはできません。統計分析をするにはこれらのデータを、さらに数字へ置き換える必要があるのです。

原作から映画までの過程をまとめたデータベース①


私たちは、コンテンツがその世界観を変えながら、マンガやドラマなどの様々なメディア媒体に移り変わる現象を、「コンテンツ変換」と呼んでいましたね。
さらに私たちは、コンテンツ変換を以下の4つの切り口で見ることにしました。
「数」:コンテンツ変換を何回したか。
「種類」 :コンテンツ変換過程に何種類の媒体があるか
「原作出現から映画化されるまでの時間」:原作の出現から映画化までに、何ヶ月かかったか。
「コンテンツ変換の平均所要時間」:(「原作出現から映画化されるまでの時間」/コンテンツ変換数)
これは、前回のデータベースを分析用に加工したデータベースです。


①  のデータベースを元に、すべての映画の「数」「種類」「原作からの時間」「平均時間」
を算出したものになります。これでデータ加工は終了です!!

 
次に加工が済んだデータを用いて、相関分析という統計分析をしました。
相関関係とは、2つの変数が相互に関係していることを指し、そのような関係を分析することを相関分析と言います。誤解を恐れずに言うと、「気温が高くなるほど、アイスの売上が上がる」のような関係のことです。
(分析の手法については、ブログの内容が分かる程度に、触れるつもりです。もっと詳しく知りたい方は、「ハンバーガーの統計学」http://kogolab.chillout.jp/elearn/hamburger/index.html)というサイトをご参照ください。とてもわかりやすい説明を読むことができます!!)


 
分析の結果、興行収益を相関関係が生じていたのは、「数・種類・ドラマ」でした。つまり、コンテンツ変換の数と種類が多いほど、また、経路にドラマが入っていると、興行収益が上がるという結果が言えそうです。

・・でも、この結果って普通ですよね??
「多種多様な媒体による宣伝」と「ドラマからの映画化」によって、映画の興行収益が上がることは、業界の人々の中では一般的なことです。感覚的に気づいていて、「もう知っている」と思われていることを研究しても、その研究に大きな価値は有りません。
(もちろん実証したという価値はあるのですが・・・。)
なにか、もっと意外性のある傾向は無いのか、まだまだ探ってみる必要がありそうです。

平野

2011年9月9日金曜日

データベース構築

暑かった夏も終わりに近づいていますね。
すると、スポーツの、食欲の、芸術の、そして読書のですね。
虫の音と共に、床についています。

どうも、湯尾大祐です。

前回の夏合宿でOB/OGから、個別事例を探っていくようアドバイスをいただいたのですが、事例をみるにしても何に注目して、読んでいったらいいのか分かりませんでした。そこで、班のメンバーと相談して、データを構築して少しでも特徴を洗い出してから、文献を読んだ方が効果的だという意見になりました。なので、事例は探しつつも、まずは前回の夏合宿で院生の方から頂いたアドバイスを参考に、データベースの構築に取り組むことにしました。

最初の記事でも記載しましたが、私たちは、原作発売・発行から、その原作が映画化されるまでに、異なる種類の媒体をたどって映画化されるまでの過程を「コンテンツ変換」と名付け、その過程をひとつひとつ辿っていくことで、売れる映画の法則性を明らかにしようとしています。

では、その過程をどのように追いかけているか。
それは、皆さんのパソコンにも入っているエクセルにお世話になっています。
下の図のような感じで映画名、公開年、月、コンテンツ1(最初のコンテンツ)・・・のように、映画を一つずつ調べ、まとめていくのです。





その際のソースは、国立国会図書館ホームページ(http://www.ndl.go.jp/)や、テレビドラマデータベース(http://www.tvdrama-db.com/) です。ここには、ドラマ・アニメ・小説・マンガといったものが集約されているので、すぐに発見できます。
この作業を何度も繰り返していき、本日ついに1990年~2009年までの邦画のデータベースが完成しました。

その際、量が膨大だったので、班員で担当を決めて、それぞれが入力を行いました。入力ミスを防ぐため、自分の担当範囲の打ち込みが終わったら他の人が打ち込み終わった範囲をもう一度調べ直すという、ダブルチェック体制を取りました。(チェック作業では、精神力が試されました。)

データベースには、原作から映画までの成り行きが描かれています。そのため、小説からドラマに、そこから映画に到達したりマンガからアニメに、そこから映画制作に至ったり、多くの流れが見て取ることができます。

けれど、定量的アプローチの醍醐味はここからです。私たちはやっとスタートラインに立てました。定量研究はエクセルにデータを打ち込むだけで終わりでなく、データと対話をしていくことに意味があるのです。つまり、私たちがまとめたデータから、どのような現象が起こっているのか、意味づけをしていく作業が重要なのです。私たちはさっそく、この作業に移ることにしました。

すると、原作を用いた映画数は年月が経つにつれて、全映画作品に占める割合が増加していることや、1990年代は、アニメや小説の原作が多くなるが、2000年代にはドラマが用いられることが多くなっていること、1998年に一気にコンテンツ変換数が多い映画が増えていることなどが、データから読み取れました。

しかし、データを重点的に見ていくと言ったのですが、忘れてならないのは、データのみに頼るのではなく、夏合宿でもOBからアドバイスを頂いたような論文や雑誌記事など、他の情報も取り入れながらやっていくことですね。なぜなら、データは確かにその時代の流行の傾向を数値で表しますが、その流行を作った人間たちはどのような働きをしていたのか、あるいはその傾向を違った見方で捉えている第三者達もいるからです。だから、映画産業に関する書籍、専門誌のインタビュー記事、学者が執筆した論文など、多くの情報を自分たちに取り入れながら、数値データを統合して研究を進めていくことがこれからは必要だと思っています。

それでは!

2011年9月2日金曜日

夏合宿を終えて




はじめまして。井上ゼミ8期の串田一生(かずき)です。

今回は、初投稿ということもあり、はじめに私たちの自己紹介と研究内容について説明したいと思います。さらに6日前に終えたばかりの夏合宿について触れていきます。

1:映画班のメンバー紹介
①  平野貴士(愛称:ひらやん)
主張が激しいメンバーのなかでは調整役に徹する緩衝材。
将来、学者になるために只今、院試にむけて勉強中。
研究にかんしてのひたむきさと、持続力は誰にも負けない。

②  湯尾大祐(愛称:だいすけ:ゆおちゃん)
6月にアメリカ留学から帰国したばかりのサッカー少年。
周りを気遣う優しさと高校サッカーで鍛えた徹夜も軽々にこなすバイタリティは群を抜く。
最近の口癖は「アメリカだと・・・・。」

③  串田一生(愛称:くっしー)
意見のぶつかり合いにどんどん突っ込む暴走列車。
よくもわるくもメンバー1主張が激しい男。
ただ、雰囲気が悪くなったときの、笑いの取り方には定評があると
自分のなかで勝手に思い込んでいる。

そんな個性豊かな私たち3人で、これから頑張って研究に取り組んでいきます。

2:映画班の研究内容
私たちは、日本の映画業界を対象にして、特にその原作に注目しています。近年、日本の映画は洋画の総売上を抜き、高い興行収益を上げるようになってきました。その背景には、様々な要因がありますが、既に売れている作品を映画化する手法が挙げられます。例えば、小説やマンガといった、紙媒体の作品。アニメやドラマといった、映像媒体の作品。他にも、写真集や史実、絵本からというのも存在します。
(こういうところからヒントを得て映画化する日本はさすがだと個人的に思います)



こういった原作が、映画まで違う媒体を、たどって映画化されるまでの過程を私たちは「コンテンツ変換」と名付け、映画が生まれるスタートから時系列的に追いかけています。そのなかで、どういった過程を踏むことが、映画の興行収益をあげるために重要なのか?
視聴者にとても認知されているドラマを映画化することが重要なのか?
映画公開前に関連小説やアニメなどを放映し、映画にすることが重要なのか?
このような疑問をもとに、映画公開までのプロセスに焦点をあてて、研究をおこなっています。

3:夏合宿
ここまで軽く自己紹介と研究内容をしてきましたが、ここからは、井上ゼミ恒例の夏合宿について話していきます。

つい6日前、私たちは夏合宿にいってまいりました。そんな夏合宿には、井上ゼミのOB/OGの方々が来てくださいます。私たちも先輩方にみてもらうことができる機会だ!ということで、強い意気込みを持って発表に臨みました。しかし、かえってきたアドバイスは、厳しく鋭かったです。

「現実的には、どういった感じで起こっているの?雑誌記事や文献などみてみた?」
「データを整理するのも重要だけど、もっと個別事例をみていくべきだよね。踊る大捜査線とかどうなの?」

私たちは質問に答えるのに戸惑ってしまいました。しかしながら、データベース構築に追われていた自分たちにとって、過去に論文を執筆されてきた先輩たちの意見は、とても貴重でした。これから、データベースの構築に加えて、個別事例の検索という新たにやるべきことが見えてきからです。

また、院生のかたにはデータベース構築のアドバイスもマンツーマンで教えていただきました。映画ができるまでの経路がわかるようなデータベースを作る方法です。すべての映画について、映画のタイトル、映画の公開年月日、原作のタイトル、原作の製作年月日、原作の媒体を調べて、エクセルのセルに記述していくというやり方でした。

発表の後は、OB/OGや院生の方とともにバーベキューを行い、楽しい時間を過ごすことができました。仕事のお話、昔のゼミはどのような雰囲気で研究や活動に取り組んでいたか、といった普段なかなか聞くことのできないお話しを聞くことができ、とても貴重な時間となりました。こういったところで井上ゼミの文化が伝承されていくのだなと、個人的に感じています。

まだまだ、データの打ち込みや分析等、先は長いですが頑張っていい論文を書ききりたいと思います。




それでは
串田。